教会規程第2部  訓練規定  (1968年10月11日 第23回大会定期会)
            改正:1975年 第30回定期会
                1994年 第49回定期会


  第1章 訓練−その性質、対象および目的−

第1条(訓練) 訓練は、教会の会員を教え、導き、教会の純潔と繁栄とを増進するために、主イエス・キリストによって教会に与えられた権能の行使である。訓練という語は、二つの意味をもつ。その一つは、教会がその会員、役員および教会会議に対して持つ統治、査察、訓育、保護および管理の全体に関し、他の一つは教会裁判を意味する。この意味の訓練を特に戒規と言う。

第2条(訓練の対象) 教会員すなわち洗礼を受けたすべての人々は、前条に定める第一の意義における訓練に服し、またその恩恵にあずかる資格をもつ。第二の意味にわける訓練は、キリストに対する信仰告白をした人々にのみ関する。

第3条(戒規の目的) 戒規の目的は、キリストの栄誉の擁護、違犯者の霊的利益、違犯の懲治、つまずきの除去、教会の純潔および繁栄の増進にある。

第4条(訓練の権能) キリストが教会に与えられた権能は、建設のためであって、破壊のためではなく、またあわれみをもって行使すべきであって、怒りをもってすべきではない。教会は、母がその子らをかれらの益のために矯正するごとく、教会の子らがキリストの日にとがなきものとして聖前に立ちうるように行為すべきである。



  第2章 未陪餐会員の訓育

第5条(未陪餐会員の訓育) 教会の子らの霊的養育、指導および未陪餐会員の訓育は、本来親達に神から委託されており、親達は、その義務を神と教会に対して忠実にはたさねはならない。また真の信仰を家庭において振起させることは、教会の主要な義務である。

第6条(訓育の配膚) 教会は聖書と教理問答書において子らを教えるために特別のそなえをすべきである。この目的のために、小会は、その権威の下に教会学校または聖書学校を設置し指導すべきであり、その他の有益な方法をも採用すべきである。

第7条(未陪餐会員の信仰告白への指導) 教会は、小児会員に対して、絶えず思いやりを持ち、彼らが分別年齢に達した時、主イエス・キリストを告白し、陪餐会員としてのあらゆる特権に加わるようはげますべきである。たとえ彼らが不従順であっても教会は彼らを愛育し、また彼らを矯正するためにあらゆる手段を用いるべきである。

第8条(成人の未陪餐会員への配慮) 教会はその監督と指導の下にある成人の未陪餐会員に対して、特別の配慮を払わなけれはならない。教会は契約の下にあるかれらの権利と特権について、くりかえしまた十分に説明しなければならない。また教会はかれらに契約に対する責任を軽視することの罪と危険とを警告しなければならない。

第9条(未陪餐会員の保護) すべての未陪餐会員は、かれらが未成年者であって親達の保護の下に生活している場合には、親達の所属する教会の保護の下にあるものとする。その他の場合には、かれらの居住地の教会または、かれらが常に礼拝を守る教会の保護の下にあるものとする。



  第3章 違犯

第10条(違犯) 裁判手続きの固有の対象となる違犯は、キリストに対する信仰を告白した教会員が信仰または生活において神の言葉に反することである。ウェストミンスター信仰告白、大・小数理問答書は、政治規準、訓練規定および礼拝指針とともに、信仰および実践に関する聖書の教えの規準的注解として、日本基督改革派教会によって承認されている。従ってこれらの規準書において解釈されたところの聖書によって違犯として立証することができないものは、いかなる教会会議によっても違犯あるいは、告訴事件として認められてはならない。

第11条(違犯の種類) 違犯には個人に対する違犯、一般に対する違犯、内密の違犯、周知の違犯があるが、すべて神に対する罪であるから、戒規の対象となる。

第12条(個人に対する違犯及び一般に対する違犯) 個人に対する違犯とは特定の個人に対する不正または危害に特に関連して考えられた、神の律法の侵犯である。一般に対する違犯とは、特定の個人とは無関係の異端及び不正である。

第13条(内密および周知の違犯) 内密な違犯とは、少数の人々にのみ知られたものであり、周知の違犯とは多くの人々に知られたものである。



  第4章 教会戒規

第14条(戒規) 教会会議によって課せられる戒規は、訓戒、停止、除名および免職である。教会会議は一つの軽い戒規が違犯者を矯正し得ないときは、さらに重い戒規を課することができる。

第15条(訓戒) 訓戒とは違犯者に対する、教会会議による正式な叱責であって、かれのとがと危険について警告し、将来一層慎重に注意探くあるように勧告することである。

第16条(停止) 停止とは、教会員に関しては、聖餐の一時的停止であり、教会役員に関しては、その職務執行の一時的停止であり、これに聖餐からの一時的停止を加えることがある。停止の期間については、期限つきと無期限とがある。期限つき停止とは、たとえかれが教会会議に満足を与え得た場合でも、キリスト教の面目、キリストの栄誉および違犯者の益がそれを要求するときは、執行される。無期限停止とは、違犯者が悔い改めのしるしを表わすまで、またはかれの行状次第によって最高の戒規の必要が現われるまで、聖餐または職務からかれを除外することである。

第17条(除名) 除名とは、違犯者を教会の交わりから除外することである。この戒規は、大罪または異端の理由の下に、そして違犯者が矯正し難く、また不従順である場合にのみ課せられる。
2 この戒規の目的は、違犯者を改悛させること、彼の違犯によるつまずきから教会を救うこと、およびこの戒規の実例によって、すべての人々に恐れの念をいだかせることである。

第18条(免職) 免職とは役員の職務を剥奪することであって、他の戒規を伴うときと、伴わないときとがある。



  第5章 教会裁判事件における当事者

第19条(裁判権の帰属) 教師に対する法治権は、本来中会にのみ残する。その他の教会員に対する法治権は、小会または宣教教師に属する。ただし小会または宣教教師が告訴されたものを審問することができない場合は、中会が法治権をもつものとする。

第20条(小会および中会の管轄権) 小会および中会は、その管轄下の人々の信仰と行状についての好ましくない報道に関して、かれらに満足な釈明を要求しなければならない。
2 中傷的報道によって侵害されたと思う人々が調査を要求するときは、管轄下の人々を保護する義務は更に不可避である。
3 調査の結果、当事者の有罪が強く確定したならば、教会会議は裁判手続きを定め告発者を任命しなければならない。
4 この告発者は、教会会議の一員でなけれはならない。ただし小会に出された事件においては、被告と同じ教会の陪餐会員でもよい。
5 告発者は事件を処理するために起訴状を準備する。

第21条(原告と被告) 裁判手続きにおける本来、唯一の当事者は、原告と被告である。原告は常に日本基督改革派教会であって、その名誉と純潔が維持されるべきである。告発者は自発的にしても、任命によるにしても、常に日本基督改革派教会の代表者であって、その事件においては、同代表者としてそのあらゆる権利をもつ。
2 上告の会議における当事者は、上告者と被上告者と呼ばれる。

第22条(起訴の形式) すべての起訴は「日本基督改革派教会の名において‥‥‥」「教会の平和と一致と純潔、また教会の主にして首なる主イエス・キリストの名誉と権威に反する者に対して‥‥」の語を用いなければならない。あらゆる事件において教会は、被告に対しては被害者であり原告である。

第23条(告発者の態度) 個人に対する違犯については、被害者側は、キリストがマタイ福音書18:15,16にて教えられた和解と違犯者の矯正との手段を試みることなしに告発者となってはならない。
2 また、内密の違犯を知る人々は、同じキリストの教えに従って、まず私的な方法によってつまずきを除去する努力なしに、告発者となってはならない。ただし教会会議は、宗教上の益のために必要と認められるときは、個人に対する違犯をも一般に対する違犯のごとく裁判上の調査をすることができる。

第24条(一般に対する違犯の告発) 一般に対する違犯については、事件は自発的に告発者となる人によって、または会議によって任命された告発者によって誘導される。

第25条(会議による告発者) 会議が告発する時は、第23条一項および二項の段階を必要としない。
2 しかし、裁判手続きが開始される前に、委員を派遣して違犯者と私的に懇談せしめ、違犯者が自らの有罪感に達するよう努力する事が望ましい場合がある。

第26条(告訴の管理) 被告に対して悪意をもつと知られている者、善良な性質でない者、戒規または裁判手続き中の者、被告の有罪判決と深い利害関係をもつ者、または訴訟好き、無分別もしくは極めて軽率な性質であると知られている者による告訴を受理するときには最大の注意を払うべきである。

第27条(告発者への警告) 会議は、自発的告発者に対して、あらかじめ次の警告をしなければならない。すなわち、もしかれが告発の正当な根拠を示すことに失敗したならば、告発において表わされた悪意または軽率に応じて、兄弟の中傷者としてかれ自ら戒規を受けなければならない。

第28条(議員の職能停止) 教会会議の一員が裁判手続きの下にあるときは、かれのすべての職能を、停止することができる。しかしこれは決して戒規としてなされてはならない。

第29条(当事者の権利制限) 次の者は判事の権利を行使する事は出来ない。(イ)被告、(ロ)告発者、(ハ)被告の代理人



  第6章 すべての教会裁判事件に適用される一般規定

第30条(議員の審問心得) 違犯者の審問に従事するイエス・キリストの教会会議の各議員は、ガラテヤ6:1のみ言葉の命令を銘記する義務がある。

第31条(教会裁判の成立要件) 違犯者に対する教会裁判は,次の場合に開かれる。(イ)告訴がある場合 (ロ)教会会議が第20条の措置を取る場合

第32条(告訴の記録) 告訴が小会または中会になされたとき、それは記録されなければならない。
2 会議の最初の会合においては、両当事者の同意がなければ、告発者の任命、公訴状起草の命令(その公訴状の写しは、告訴を支持すると知られている証言とともに被告に与えられなければならない)次の会合(それはこの召喚後十日間以内に開かれてはならない)に出頭し聴取さるべき両当事者と証人との召喚以外は何事もなされてはならない。会議の次の会合においては、被告が出席しているならば、公訴状が被告に対して朗読され彼が有罪なりや否やについて答えるよう求められる。(イ)彼が罪を告白するならば、会議はその判断に従って彼を処置してよい。(ロ)彼が弁明し、反対するならば、審問が始められなければならない。(ハ)被告の出席が不可能の場合には、文書で弁明してもよい。やむを得ず、欠席する当事者は、弁護人を指定しなければならない。

第33条(召喚状の発行) 召喚状は、会議の名において、議長または書記の署名捺印の上発行されなければならない。議長または書記は、当事者が自己のために出頭するよう指名する証人にも召喚状を発行しなければならない。

第34条(公訴状の記載事項) 公訴状を作成するときは、被告に弁明の機会を与えるため時間、場所および状況を出来るかぎり詳細に記載すべきである。

第35条(被告の召喚拒否) 被告が召喚状に従うことを拒否するときは、第二回の召喚がなされなければならない。この第二回の召喚状には、もし彼が指定された時間に出頭しないならば(不可抗的に妨げられる場合にはこの限りではない。ただしその事実を会議に知らせることを要する)または、もし彼が出頭しても弁明を拒否するならば、「その不従順に対して第51条及び第57条の規定によって処理する」という警告を書き加えなければならない。


第36条(期日と送達との間の猶予期間) 被告への第一回召喚状の送達と彼の出頭すべき会議の会合との間には、少なくとも十日以上の日数をおかねばならない。その後の召喚状に対し彼の出頭までにおかれる日数は、会議の判断に委ねられる。ただし召喚状に都合よく応じられる時間がなければならない。

第37条(証人の出頭不可能な場合) 被告の告訴された違犯が遠隔の地で起こっており、証人にとって法治権をもつ教会会議への出頭が不便であるときは、その教会会議は、それに対する証言をとるため、政治規準第17章に基づき、その会議の中から特命委員を任命するか、またはその事実の起こった場所に近接する同格の教会会議に依頼してよい。被告はこの特命委員または同格の教会会議の時間と場所について常に適正な通告を与えられるものとする。

第38条(管轄地域外での違犯) 遠隔の地で行なわれた(第三者申告の)違犯が、違犯者に対する法治権をもつ教会会議に知られそうもないときには、その事件の起こった地域を管轄地域とする会議は、告訴に相当な根拠があることを認めたうえで、法治権をもつ会議に通告する義務を有するものとする。法治権をもつ会議は、被告に対する裁判手続きを直ちにとらねばならない。またはその違犯が行なわれた場所を管轄地域とする同格の会議に事件の審問全体を委ねてもよい。

第39条(召喚状送達確認) 会議は審問に入るに先立って召喚状が正しく送達されたことを確かめねばならない。

第40条(裁判委員会) すべての教会裁判手続きにおいて、もし便宜と思われるならば、裁判委員会を選出し、全文書を類別整理し、会議の指揮の下に議事の全順序を規定せしめることができる。裁判委員会の構成員は、その義務の遂行にかかわりなく、会議の議員として議席を占め投票する資格を有する。
2 会議は、政治規準第115条第2項に基づき、その裁判全体を裁判委員会に委ねてもよい。

第41条(議長の義務) 審問が開始されるとき、議長は、議長席から教会会議が事件の審問に取りかかることをおごそかに宣言し、議員に対して、イエス・キリストの法廷の審判者としての彼らの高き品位および彼らが今たずさわろうとするおごそかな務めを回想し留意することを命じなければならない。

第42条(証人に対する尋問) 審問が公平かつ中正であるために、証人は、被告の面前で、または少なくとも被告が召喚状を正式に受けた後に、尋問される。証人は、両当事者によって反対尋問され、また係争論点に関連するいかなることでも質問されてよい。

第43条(当事者の議場退出) 審問の進展中に起こるすべての問題に関しては、まず両当事者の間で論議がなされるものとする。右の論議のあとで、両当事者は、議員がその点を審議し決定するまで議場から退出するよう要求されることがある。

第44条(公判手続き) 第一審の教会会議が事件の審問に入るときは、次の順序に従うものとする。
 (1) 議長が会議の開会を宣言する。
 (2) 公訴状が読まれ、被告の答弁がなされる。
 (3) 告発者の証人、次に被告側の証人が尋問される。
 (4) 両当事者が発言する。まず告発者、次に被告、終わりに告発者の順序である。
 (5) 議員の点呼がなされる。議員は、事件に関する彼らの意見をのべることができる。
 (6) 投票が行なわれ、裁決が宣告され、判決が記録される。

第45条(忌避申し立て) いずれの当事者も、十分の理由があるとき、事件の審問にあたるいかなる議員の出席権をも拒否することができる。当該問題は、拒否された者以外の議員によって決定されねばならない。

第46条(議員の資格剥奪) 事件の審問の進行中に議員が当事者の一方に、または会議の議員でない者に事件の理非曲直について意見を発表した場合また会議の許可なくして、または十分な理由の表明なしに議席を離れた場合、彼はそれによって以後の議事に参与する資格を失うものとする。

第47条(事件記録) 両当事者は、もし彼らがそれを必要とするならば、全議事の写しを自費をもって求めることができる。審問議事録は、書記によって保存されるものとする。
2 審問議事録は、告訴、答弁、すべての証言、当事者のいずれかの要求によって会議がなしたところの事件に関係のあるすべての決議、命令および決定、ならびに判決を示さなければならない。
3 書記は、遅滞なく、告訴、答弁、召喚状およびそれに対する回答ならびに保存を要求されている審問議事録を一括しなければならない。このように一括されたこれらの文書は、「事件記録」を構成する。
4 一つの教会裁判事件が上告または異議申し立てによって上級会議に移されたときは、下級会議は、右の事件記録を上告または異議申し立ての通知書に添えて、上級会議に移送し、もし上告または異議申し立ての理由があるならば、それを書面にて提出しなければならない。この事件記録中に含まれていない事項は、両当事者の同意なしに、上級会議が考慮に入れてはならない。
5 上級会議において教会裁判事件の最後決定があったとき、その判決は、会議裁判事件を開始した会議に通達されなければならない。

第48条(弁護人の選任) 職業的弁護士は、いかなる会議においても、職業弁護士たることによっては、教会裁判事件に出頭し弁護することは許されない。
 しかし、被告は、もし欲するならば、小会において同じ教会の陪餐会員によって代理され、また他の会議においてその会議の一議員によって代理され得る。その依頼を受けた議員は、その教会裁判事件において判事たることを許されない。

第49条(起訴時効の期間) 不道徳犯の場合教会裁判手続きは、違犯後、一年以内に開始されなければならない。ただしそれが最近になって初めて明らかになったものはこの限りではない。また、教会員が以前の住居から遠隔の地に移転して教会との関係が知られていない所で違犯を行なったため、教会裁判手続きが前記の期間内に成立し得ない場合には、違犯者の所属する教会が明らかになった時を、その違犯が初めて明らかになった時とみなす。同一の原則が同様の事情において教役者にも適用される。



  第7章 小会に提起された教会裁判手続きに関する特別規定

第50条(教会員に対する戒規権の所在) 福音の教師以外のすべての教会員に対する裁判手続きは、その会員の所属する教会の小会に提起されねばならない。ただし小会が法治権を行使し得ない事件については、裁判手続きは、中会に提起されねばならない。

第51条(被告の不従順) 被告が二度正式に召喚されながら、小会に出席することを拒否するとき、または出頭しても答弁を拒否するときは、小会は、その事実を起訴された違犯の性質とともに小会記録に記載し、彼を不従順のゆえに陪餐停止の戒規に付さなければならない。小会が適当と認めるならば、戒規は公表されてもよい。そしてこの戒規は、違犯者が自分の不従順を悔い改めるのみならず、彼に対する告訴に関して申し開きの立つまでは、決して解除されてはならない。

第52条(不従順の固執) 告訴が大罪または異端であって、しかも被告がおのれの不従順を固執するならば、会議は、最後の戒規まで課することができる。

第53条(裁判手続き開始の不能) 告訴された教会員に対して直ちに教会裁判の手続きを開始することができない場合には、小会は、教会の建徳上、判決まで被告に陪餐を遠慮させることができる。



  第8章 教師に対する教会裁判の手続きに関する特別規定

第54条(教師に対する戒規権の所在) 教師に対する教会裁判の手続きは、彼の所属中会に提起されなければならない。

第55条(教師に対する告訴) 教師の罪は、その職務への考慮によっておおいかくされたり、軽く戒規されたりしてはならない。同時に、教師に関する告訴は軽々しく受理されてはならない。

第56条(私的警告) 教師に内密の罪があることを知る者は、ひそかに彼に警告すべきである。
 しかし、もし違犯が継続されたり、あるいは、公然となった場合、その事実を知る者は、その事件を中会内の他の教師に留意させ、かれの忠告を求むべきである。

第57条(召喚拒否) 違犯のゆえに告訴された教師が二回正式に召喚されても、中会に出頭することを拒否する場合、かれは直ちに停止の戒規を受けねばならない。もし次の召喚後もなお彼が出頭することを拒否するならば、かれは不従順のゆえに停職されるかまたは除名される。
 かれに対する告訴理由と判決の記録が作成され、その宣告は公表されねばならない。

第58条(異端と分派) 異端と分派は、免職されねばならぬ事がある。しかし誤謬は、それがキリスト教の生命をおびやかし、活発に伝播されるものか否か、それが人間の理解の弱さから起こったものであって多くの害を及ぼすうれいがあるか否かを慎重に考慮しなければならない。

第59条(弱さの過失) 審問の結果、訴えられた事件が矯正され得る弱さの行為に過ぎず、従って福音の教師としての働きを妨げることがほとんどないことを発見するならば、中会はそのつまずきを除去するためあらゆる細心の処置を取るべきである。

第60条(告訴事実の承認) 審議中に被告たる教師が告訴事実を承認した時、その事件が低劣かつ極悪であって、酪酎、不潔、その他の重大犯罪などであるならば、いかにかれの悔い改めがすべての人の満足を得たように見えても、会議は直ちに、彼の職務を停止させるか、免職させるかしなければならない。

第61条(復帰の条件) 恥ずべき行為のために停職または免職された教師は、自分の罪を深く悲しみ、謙虚で建徳的、いちじるしく模範的な生活を相当長期に亙って送ることによって、自分の不道徳が与えた傷をいやすまでは復帰させられてはならない。
2 免職させられた教師は、いかなる場合でも、教会全体が強くかれに好意をよせ、かれの復帰を欲していることが明らかになるまでは、決して復帰させられてはならない。
3 かれの復帰はかれを戒規した会議によってか、またはその同意によってのみ行なわれ得る。

第62条(教師の免職・停職と教会) 教師が免職されたときは、その教会は無牧と宣言されねばならない。しかし、停職の場合は、戒規が教師と教会との牧会関係の解除を含んでいるかどうかは、中会の判断に委ねられるべきである。

第63条(教師の職能怠慢) 教師がその職能を正規に遂行することを二年間常習的に怠る場合は、その事実を知る教師または、伝道委員会が中会に報告しなければならない。中会は、定期会においてかかる怠慢の原因を調査し、必要ならばかれの契約違犯のゆえに、かれに対して教会裁判手続きを提起しなければならない。
2 もしかれの怠慢の原因が、教会に受け入れられないこと、または招請を受けるに至らないこと、または、教師の働きに対する彼自身の関心の欠如であることが明らかになるならば、中会は、聖なる召命の証拠の欠如のゆえに教師候補者から免許を取り消すと同一の原則の下に、戒規をともなわずして、当人の意思に反してもかれの職務を罷免することができる。このためには三分の二の賛成投票が必要である。右の場合には書記は中会の決議によって、当人に対して、次期の定期中会においてかれがそう処置されることが問題となることの通知書を、直ちに送達しなければならない。この通知書には、右の処置の理由が明記されねばならない。この通知書を受けた者は、自ら弁明する機会を与えられるものとする。また、もし決定がかれに不利であるならば、かれは通常の形式に従って審問された場合と同様に上告することができる。
3 この原則は、治会長老および執事にも、必要な変更を行なって適用される。
4 これらの規定は、定年または無能力のゆえに引退した教師には、いかなる意味においても適用されない。



  第9章 証拠

第64条(証人) 相当な年齢と知性をそなえた人は、すべて十分資格ある証人である。被告は、立証することは許されるが、強制されない。しかし、原告は、被告の請求にもとづいて立証することを要求される。両当事者の一方は、かれが不適当と信ずる証人を拒否する権利をもっている。会議は、その証人の適性を調査し決定しなければならない。すべて証拠に与えられる信頼性の程度の判定は議会に属する権限である。

第65条(配偶者の証言免除) 夫または妻は、いかなる会議においても、対立的な立場の証言をすることを強制されてはならない。

第66条(告訴の成立) 告訴を成立させるためには、二人以上の証言が必要である。ただし一証人の証言に加えて確定的証拠が出されたならば、違犯は、立証されたものとみなされる。

第67条(証人の出廷) 後に尋問される証人は、会議の議員でない限り、同一事件に関する他の証人の尋問中は、もし当事者の一方が反対するならば出席してはならない。

第68条(証人の尋問) 証人は、まずかれを申請した当事者によって尋問され、次に反対側の当事者によって反対尋問がなされねばならない。その後、会議の議員または当事者の一方は付加的質問をすることができる。しかし、議長の許可なくしては、いかなる質問も答弁もしてはならない。ただし議長は、会議に訴えられる発言は取り上げねばならない。会議は、当該告訴に無関係なまたは軽薄な質問を許してはならない。

第69条(証人の宣誓) 証人の宣誓または誓約は、議長によって以下のまたは類似の用語によって行なわれなければならない。「あなたは生ける者と死せる者との最大の審判者である神にむかって答える様に、あなたは証人として招かれた事件に関してあなたの最善の知識に従い、真実、真実の全部、そして真実のみを述へることを神のみ前におごそかに約束しますか」。証人は「然り」と答えなければならない。しかし、良心的理由により他の方法によって宣誓または誓約することをよしとする証人が会議に出席した場合は、かれはそうすることを許されねばならない。

第70条(証人尋問と証言の記録) 証人に対するすべての尋問は、もし要求されるならば、記録されねばならない。答弁がなされたとき、もし会議または当事者の一方によって十分重要と認められるならば、質問は答弁とともに記録されねばならない。
 証人の証言は、承認と署名のため、かれに対して朗読されねばならない。

第71条(記録の有効性) 会議の記録は、原本にしても謄本にしても、議長または書記によって正式に確認されたならば、他の議会において完全かつ十分な証拠とみなさねはならない。

第72条(証言の有効性) 同様に、一会議によって採用され、正式に確認された証言は、他のすべての会議においても、その会議自ら聴取したものと同等に有効なものとして受け入れられねばならない。

第73条(特命委員及び同格の会議による証言の聴取) 事件における証言の全部または一部を会期中に(会議の席上で)聴取する便宜を会議が持たない場合は、当該証言を取り上げるため特命委員が任命されるか、または同格の会議にその証言を聴取することを要請しなければならない。
 その証言は会議の席上で聴取されたものと同等の効力をもつ。会議は、反対側の当事者が出席できるように、右の特命委員または同格の会議について、およびその会合の時間と場所について、かれに正式の通知書を送達しなければならない。
2 また被告が、自己の弁護のために遠隔の地で証言を取ることを願うならば、かれはその証言が取られるべき時間と場所について会議に通知し、証言を取る目的のために前例と同様に特命委員が任命されるかまたは同格の会議にその聴取が要請されなければならない。またその証言は、書面による尋問によって取られてもよい。その場合、それと同一の文書が当該事件につき法治権をもつ会議の書記に提出され、また二週間前に反対側の当事者に通知されなければならない。この期間中に、もし反対側の当事者が欲するならば、反対尋問書を提出することができる。直接尋問書および反対尋問書が提出されたならば、それに応答する証言が、特命委員または同格の会議によって取られなければならない。その証言を取る時間と場所については、通知を与える必要はない。

第74条(証人の判事の資格) 事件において証言を与えた議員は、もし当事者の一方が反対するならば判事として着席する資格を失う。

第75条(証言の拒否) 教会の役員または会員で立証することを拒否する者は、その不従順のゆえに戒規されることがある。

第76条(再審問) 会議における審問ののちに、被告が重大であると信じる新しい証言が発見された場合、新規の審問を要請することは、かれの権利であり、その要請を受理するか否かは、会議の権限である。

第77条(上告) 上告の遂行にあたって、上告を受けた会議がその事件について重要な関係があると判断する新しい証言が提出された場合、新しい審問のため下級会議へその事件を照合し、または両当事者の承諾をもって証言を採用し、事件の裁判手続きを取ることは、上級会議にとって適当なことである。



  第10章 教会戒規の執行

第78条(違犯処理についての配慮) 教会の会員または役員が違犯のとがを発見されたときは、会議は深い思いやりをもって教会裁判手続きを取り、また会議の議員は、自らもまた誘惑されることのないように反省しつつ柔和の精神をもって違犯のある兄弟を取り扱わねばならない。

第79条(執行様式) 教会戒規とその執行様式は、違犯の性質に適応させるべきである。内密の違犯に対しては、戒規は、教会裁判の法廷(議場)で非公開に執行されるか、またはひとりまたは数名の議員によって内密に執行されるべきである。
2 周知の違犯の事件においては、戒規の程度とその執行様式は、個々の戒規を規定する以下の条項に従って、会議の判断によって定められる。

第80条(訓戒戒規の執行) 訓戒は、違犯が少数者の者にしか知られておらず更に悪化する性質のものでない場合には、ひとりまたは数名の議員によって内密に執行されるべきである。違犯が周知のものである場合は、訓戒は、会議の開会中に議長によって執行されるべきであって、会議が適当と認めるならば、公けに宣言されてもよい。

第81条(期限つき停止) 期限つき停止は、非公開会議か、公開会議か、最善と思われる方法によって執行されるべきである。それに関する公けの宣言は会議の判断に委ねられる。

第82条(無期限停止) 無期限停止は、期限つき停止について規定された方法によって執行される。ただしそれが違犯者の精神にかれの危険を正しく印象づけるために、また神の祝福のもとにかれを悔い改めに導<手段となり得るように一そう厳しゅくに執行されるべきである。
2 会議がこの判決を下すことを決定したとき、議長は違犯せる兄弟にむかって、次の様に宣言しなければならない。「何某(ここに職名と人名を置く、教師、治会長老、執事又は教会員何某とする)あなたは−罪(ここに罪名をしるす)についての十分な立証によって(または、あなた自身の告白によって)有罪であるゆえにわれら何々中会(または小会)は、主イエス・キリストの名において、またその権威によって、今あなたに教会の聖餐を(あなたの職務の行使または教会の聖餐とあなたの職務の行使を)あなたが悔い改めの満足な証拠を表わすまで停止することを宣言する」なお必要と判断される勧告または訓戒がこれに付加されねばならない。そしてかれが神の祝福をもってこの戒規の執行に従うよう全能の神への祈りをもって全部を終わるものとする。

第83条(除名) 除名は、無期限停止について定めた様式に従って執行されるべきである。この戒規の執行にあたって、小会議長は、違犯せる兄弟に関してとられた数種の段階と、かれを教会の交わりから断つ決定とについて声明書を作成しなければならない。ついで議長は、会員としてふさわしくない者を追放することは教会の権能であることを、マタイ一八章一五節から一八節と第一コリント五章一節から五節によって表明し、戒規の性質、実施および結果について説明しなければならない。議長は次の言葉をもって戒規を執行しなければならない。「この教会員何某は、十分な証拠によって−罪があることが確かめられ、かつ多くの訓戒と祈りにもかかわらず、教会に聞くことを頑固に拒み、悔い改めの証拠を表わさなかった。ゆえに主イエス・キリストの名において、またその権威によって、何々教会小会は、かれを聖餐から除外し、かれを教会の交わりから断つことを宣言する。
 そののち神の祝福によって会議のこの厳しゅくな執行が違犯者の悔い改めと復帰を促し、すべてのまことの信徒が堅く立つにいたるよう祈られねばならない。

第84条(免職) 免職の戒規は、議長によって次の言葉をもって執行されねばならない。
 「この中会の教師(または、この教会の治会長老あるいは執事)何某は十分な証拠によって−罪あることが立証されたゆえに、何々中会(または小会)は、かれを教師(または治会長老あるいは執事)の職務に資格なきものと宣告する。従ってわれらは、ここに主イエス・キリストの名において、またその権威によって右の教師(または治会長老あるいは執事)何某の職を免じ、それに関するいかなる職能の行使をも禁止する」。右の戒規が停止または除名を含んでいるならば、議長は次の言葉をつづけて述べなければならない。「われらは実に同一の権威によって右の何某にかれが心からの悔い改めの十分な証拠を示すまで聖餐を停止する」。または、「右の何某の聖餐を停止し、かれを教会の交わりから断つ」。
 免職の宣告は、すでに定められた除名の場合と同様の厳しゅくさをもって下さなければならない。



  第11章 戒規の解除

第85条(解除のための配慮) ある人が聖餐停止また停職された後、神がかれに悔い改めを与えることをよしとされるように、教会役員は、しばしばかれとともに、またかれのために祈り、またかれと語り合うことが適当である。

第86条(停止の解除) 停止を受けた違犯者が十分の悔い改めの事実を示した事を会議が認めたときは、かれは会議において非公開または公開で悔い改めを告白することを許され、教会の聖餐と職務に復帰させられるものとする。会議の判決が復帰を認めたならば、以下の趣旨の言葉をもって改悛者に宣言しなければならない。
 「何某あなたは、教会の聖餐から(または、礼典の執行と福音宣教の職務から、または治会長老職、あるいは執事職から)除外されていましたが、今あなたは教会が十分と認めるごとき悔い改めを明らかに示しました。それゆえに、何々の小会、(また中会)は、ここに主イエス・キリストの名において、またその権威によって、あなたを右の停止の戒規から解除し、教会の全き交わり(またあなたの右の職務の執行とそれに関するすべての権能)に復帰させます」。
 その後、祈祷と感謝が捧げられるべきである。

第87条(除名の解除) 除名された人が悔い改めに導かれ、教会の交わりに再び入れられたいと熱望するほどの状態にあるときは、小会は、かれの心からなる悔い改めの十分な証拠を得て、かれのために復帰手続きをとるものとする。これは会議においてまたは会衆の前において、小会が最善と認めるところによって行なわれる。教師は、除名された人の復帰のために指定された日にかれを召喚し、会議においてまたは会衆の前において、以下の質問をしなければならない。
 「あなたは自己のはなはだしい悪を深く覚え、神に対して反逆し、神の教会に聞くことを拒んだことの罪を自ら進んで告白しますか。あなたはまた、神の義とあわれみとの中にあって教会の交わりより断たれていたことを認めますか」。
 答「はい」。
 「今、あなたはあなたの罪とかたくなに対して真実の悔い改めと悔悟を自ら進んで告白しますか。また、あなたは神と教会のゆるしを謙虚に願いますか」。
 答「はい」。
 「あなたはみ恵みによって、謙虚なる思いと、細心の注意とをもって生活し、聖い生活により、わたしたちの救い主である神のみ教えを賛美するよう努力することを心から約束しますか」。
 答「はい」。
 ここで教師は改悛者を励まし慰めて、適切な奨励を与えなければならない。次に以下の言葉をもって復帰の宣告をしなければならない。
「何某あなたは教会の交わりより断たれていたが、今、教会に満足すべき悔い改めを示したので、わたしたち教会の小会は、主イエス・キリストの名において、またその権威によって、先にあなたに対して宣告された除名の戒規を解除することを宣言する。わたしたちはあなたをあなたの永遠の救いに対する主イエスのすべての祝福に与る者とならせるために、教会の交わりに復帰させるものである」。
 全体は祈祷と感謝をもって終了するものとする。

第88条(免職役員の復帰) 免職された役員の復帰は、除名された人の戒規の解除について定められたと同様の方式によって、公けの告白がなされた後に、以下の形式において議長によってかれに宣言されなければならない。すなわち「さきにこの中会の教師(またはこの教会の治会長老あるいは執事)であった何某は、免職されていたが、今、教会に満足すべき悔い改めを示したので、われら−中会(またはこの教会の小会)は、主イエス・キリストの名において、またその権威によって、さきにあなたに対して宣告された右の免職の戒規を解除することを宣言する。さらに、われらは、あなたの右の職務とそれに関するすべての権能の行使にあなたが正規に召された時はいつでもただちにあなたを復帰させます。その後、祈祷と感謝が捧げられ、議員はかれに交わりの手を差しのへられなければならない」。

第89条(治会長老、執事の復帰) 治会長老もしくは執事が免職の戒規を解除されても、会員による再選がなくてはその職務の行使に復帰することは許されない。

第90条(他住戒規会員の復帰) 戒規の下にある人が−宣告を与えられた会議から遠隔の地に移転し、しかも悔い改めを告白し復帰を得たいと望むときは、もしも戒規を与えた会議が適当と認めるならば、違犯者の居住する他の小会へまたは中会)にその教会裁判手続きの証明された写しを送達することは、その会議にとって合法的である。受理した小会(または中会)は、そこで裁判手続きが開始されたものとして、その事件を取り上げて処理しなければならない。

第91条(教師の復帰) 停止または免職されていた教師の復帰については、最大の注意をもって処置することは、中会の義務である。もしかれが聖餐停止を受けておるならば、まず聖餐にあずかることを許すべきであり、そののち、かれの悔い改めの真実性とみ言葉の役者としての有用性を試すために、説教する特権を一時試験的に与えるべきである。これらの点において十分であるとき、中会は、かれをその職務に復帰せしめるよう処置すべきである。しかし当該事件は、復帰の判決が宣告されるまでは、つねに会議の裁判的配慮の下におかなければならない。



  第12章 教会裁判手続きなき事件

第92条(自発的告白) ある人が会議に出て、かれの違犯を告白するときは、事実の十分な供述が記録され、判決は、裁判手続きなしに下される。

第93条(除籍願い) 告訴されていない陪餐会員が、自分の名を会員名簿から除くこと、または別帳会員名簿に移すことを、小会に願い出るならば、それを許可することは小会の権限である。その決議は、賢明かつ適当と認められるならば、会衆に宣言することができる。しかしこれらの移転は、小会の調査と相当の期間とを経たのち、その願いが一時的疑いまたは特殊な誘惑から生じたものでないと判定するまではなされてはならない。

第94条(職務からの除去願い) 告訴されていない教師は、神がかれを宣教に召し給わないことを自己の良心に十分納得させられるならばまたは招請を受けて教会に奉仕することができない十分な証拠を有するならば、これらの事実を定期中会に報告することができる。中会は、次期会合で十分な審議の後に、彼と同一の判定に達したならば、戒規なしに、かれをその職務から除くことができる。この規定は、治会長老と執事の場合にも、必要な変更をもって、同様の方法で適用されるものとする。すべてかかる場合には、職務からの除去を求めている治会長老または執事の所属する教会の小会は、教師の場合に中会が執行すると同様に執行しなければならない。

第95条(変則的所属変更) 会員または役員がキリストの教会の真のえだであると日本基督改革派教会によって認められている他の教会に参加することによってわれらの教会の交わりを一方的に断つとき、かれがその義務におこたりない限り、この変則は記録され、かれの氏名は消されなければならない。しかし、もしかれに対して告訴が進行中であるならば、そのことはかれの加入した教会に通達されねばならない。
2 もしその教派が異端的であるならば、役員はその氏名から除かれ、教会から与えられたかれの職務を行使する一切の権能が取り上げられ、その旨が本人に通告されねばならない。普通会員には、その教派が異端であることを通告しなければならない。



  第13章 下級会議の議事が上級会議の監督下に置かれる様式

第96条(上級会議の監督様式) 下級会議の行為と決定は、以下の各様式に従って上級会議の監督下におかれる。
 (1) 調査および管理
 (2) 照会
 (3) 上告
 (4) 異議申し立て

第97条(下級会議議員の権利保留) 下級会議の議事が上級会議に提出されたとき、下級会議の議員は、上告または異議申し立ての場合を除いて、上級会議に出席し、審議し、投票する権利を失わない。



  第14章 一般調査および管理

第98条(記録調査) 上級会議は、すぐ下の下級会議の記録簿を少なくとも年に一回調査する権限を有する。
 下級会議が調査に応ぜず記録簿を提出しない時、上級会議は直ちにかまたは定められた時に記録簿を提出するよう要求することができる。

第99条(調査事項) 上級会議が下級会議記録簿について調査すべき事項は次のとおりである。
 (1) 議事が正確に記録されているか否か。
 (2) 議事が正規であり憲法の規定に一致しているかどうか。
 (3) 議事が教会の繁栄に役立つように賢明、公正また適切なものであるか否か。
 (4) 上級会議の合法的命令に服しているか否か。

第100条(調査結果) 上級会議は特定項目についての承認不承認または訂正を議事録ならびに調査された記録簿に記載することで十分である。
2 しかし、重大な変則が発見されたならば上級会議は下級会議に調査と訂正を要求することができる。
3 上告または異議申し立ての通告が下級会議になされている教会裁判事件の議事は、調査と管理の対象とされない。
 教会裁判事件における下級会議の下した判決は、上告または異議申し立てによる破棄以外に、破棄されることがあってはならない。

第101条(記録の不備) 会議がその義務の遂行を怠った結果、異端的見解または腐敗した慣行が勢力を得たり、あるいは非常に野卑な性質の違犯者が裁判をのがれたり、さらには非常に変則的な処理を受けた議事が明確に記録されなかったりする事態の生ずることがある。いずれの場合もその記録が不備であって、上級会議に対しこれらの議事に関する会議の見解を十分に提示することができないであろう。下級会議のこのような怠慢または変則を感知したすぐ上の上級会議は、当該議事を審理する義務を有する。
 上級会議は、明確な記録を記録調査する場合にならって、当該議事を完全に調査し審議して、その判断を下さなければならない。

第102条(過失または違憲への処置) 上級会議がすぐ下の下級会議の重大な過失または憲法違反の議事を、その会議の記録により、陳情書により、またはその他の確かな方法によって、知った時の処置の手順は次のとおりである。
 (1) 過失または違憲を申し立てられている会議を喚問し、特定の時と所に代表者の出頭または書面の提出を求めて、当該議事の処理について説明を求める。
 (2) 喚問状を発した会議は、裁判事件を除く下級会議の議事録を取り消しまたは削除することができる。
 過失を犯した会議を戒規することができる。
 また過失を犯した会議に当該議事の再審議を命ずることができる。
 また事情により当該議事のそれ以上の審議を差しとめることができる。

第103条(規則の適用) 下級会議に対する審理の手続きは、個人に対する手続きとして規定された規則を適用しうる限りは、それに従わなければならない。



  第15章 照会

第104条(照会) 照会とは、下級会議が未決の案件に関し、勧告その他の行為を求めて上級会議に提出する文書による申し立ておよび申請である。通常、すぐ上の上級会議になされる。

第105条(照会事項) 通常、照会の対象となる事項は、前例のない微妙なまた困難な案件、議員がきわめて激しく対立している案件、または憲法および規則上の手続きを含む問題で下級会議が指導される必要を覚える案件などである。

第106条(照会の種類) 照会に際し、下級会議は、単なる勧告のみを、または照会案件の最後的処置を要請することができる。
 特に教会裁判事件を照会し、上級会議の審理と判決を要請することができる。

第107条(照会の手続き) 照会は、その会議が指名するひとりまたはそれ以上の代表者によって、上級会議に提出される。照会案件についての正確な理解と考慮とを助ける必要記録が添付されなければならない。

第108条(照会事項の適不適) 当を得た照会があるとはいえ、各会議は教会規則に定められた義務を果たすべく努めなければならない。
 上級会議は下級会議の要請に常に応ずることを必要としない。しかし通常、要請があった時、勧告を与えるべきである。

第109条(関係書類の提出) 会議は、照会に際し十分に準備また整理された証言その他の書類を用意しなければならない。上級会議のすみやかなまた十分の考慮と討議を助けるためである。



  第16章 上告

第110条(上告) 上告とは、下級会議で判決が下された裁判事件を上級会議に移管することである。上告は判決が申し渡された当事者にのみ許される。当事者は上告者および被上告者である。
 上告は、すぐ上の上級会議の同意なしに、他の上級会議になされてはならない。

第111条(上告者の資格) 正規の審理に服した者のみ上告する権利を有する。正規の審理に服さなかった者は上告する権利を有しない。

第112条(上告理由) 上告の理由は次のとおりである。
 (1) 下級会議の裁判手続きにおける変則。
 (2) 審理に際しこの当事者に対する正当な猶予の拒否。
 (3) 不適当な証拠の受理または適当な証拠の拒否。
 (4) 十分な証拠調べがなされずに下された急いだ判決。
 (5) 当該事件に関する偏見の表明。
 (6) 判決および戒規における誤りまたは不公正。

第113条(上告通知書)上告の通知書は、上告理由を付して、会議の閉会前にまたは閉会後十日以内に、会議の議長または書記に提出しなければならない。

第114条(事件記録) 上告者は、上級会議の開会後二日目までに、上級会議の書記に上告書およびその理由書を提出しなければならない。
 下級会議の書記は、当該事件に関する一切の議事の写し、上告通知書にその理由書、証拠および事件に関係ある書類を、同期間中に上級会議の書記に提出しなければならない。これらの書類は一括して「事件記録」という。
 上級会議は、両当事者の同意なしに、「事件記録」の中にない他のものを受理または考慮してはならない。

第115条(上告通知書の効力) 上告の通知書は、当該事件が上級会議で決定されるまで、下級会議の判決を停止させる効力を有する。
 しかし、戒規が停止・除名または免職である場合、当該事件を取り扱った会議が正しく記録している十分な理由のゆえに、当該事件が最終的に決定されるまで、その戒規は有効であり、実施される。

第116条(審理) 上級会議は、上告を正式に受理したならば、次の手続きをとるものとする。
 (1) 事件の完全な記録の朗読、ただし両当事者および会議の同意を得て省略しうる部分を除く。
 (2) 尋問は両当事者になされる。討論は上告者の同意なしに終結されてはならない。
 (3) 上告を受けた会議の議員には、その意見を発表する機会が与えられる。
 (4) 次に表決はそれぞれの条項についてそれ以上の討議をすることなく、下される。
  表決はそれぞれの条項について「この条項について誤りが認められるか」という形式で行なわれなければならない。
 (5) 会議はまた適当と認める時、その議決に関する詳細の解説を採用することができる。その場合、それは当該事件に関する記録の一部となる。

第117条(決定) 上級会議は次のような決定を下すことができる。
 (1) 下級会議が下した判決の全部または一部を確認することまたは破棄することができる。
 (2) 記録が不正確あるいは不完全と思われる時、記録を修正する目的で下級会議に当該記録を返送することができる。
 (3) 再審理のために当核事件を差しもどすことができる。
 いずれの場合にも十分な記録が作成され、その写しが下級会議に送付されなければならない。

第118条(上告放棄) 上告またはその代理人が、上告通知書の日より二日以内に上告した上級会議に出頭しなければ、上告を放棄したものと見なされる。
 そして彼が出頭することができなかったことおよび上告をし得なかったことについて満足な釈明を会議に与えない限り、下級会議の判決は有効とされる。

第119条(不当な上告) 上告が、上告者の訴訟ずきとかまたはその他の非キリスト教的精神に基づくものであることが明白である時、上告者は上告をなした上級会議より相当の叱責を受けねばならない。

第120条(事件記録の提出) 下級会議が「事件記録」の全部またはその一部を提出することを怠り、上告者の利益を損うならば、上級会議より相当の叱責を受けねばならない。
 また、上告の原因となった判決は「事件記録」が提出され、その案件が公正に審議される時まで停止されるものとする。



  第17章 異議申し立て

第121条(異議申し立て) 異議申し立てとは、下級会議の議決または決定に反対し、上級会議へなされる文書による申し立てである。忠実な陪餐会員が、自己に対する法治権の行使に対して異議申し立てを起こすことは、彼の権利である。上告中の裁判事件についての異議申し立ては許されない。
 異議申し立ては、すぐ上の上級会議の同意なしに、それ以外の上級会議になされてはならない。

第122条(異議申し立ての効力) 異議申し立ての通告は、異議申し立ての対象である下級会議の決議を停止させることはできない。
 ただし、当該決議が行なわれた時の出席議員の三分の一の賛成により、上級会議での最終決定まで、その決議を停止することができる。

第123条(異議申し立ての当事者) 異議を申し立てられた会議は、申し立ての対象である決議を弁護するために、一人以上の代表者を任命しなければならない。
 この件における当事者は、異議申し立て者および異議申し立て応答者である。

第124条(上告規定の適用) 第113条、第114条、第116条、第118条、第119条および第120条に定められている上告に関する規定は、必要な変更を加えて異議申し立てに適用される。

第125条(上級会議の権能) 上級会議は次の決定を下す権能を有する。
 (1) 下級会議の議決の全部または一部を無効とすることができる。
 (2) 再審議するよう指示し、その事件を下級会議に差しもどすことができる。

第126条(表決の種類) 異議申し立てに関する表決は、異議申し立て事項全部を支持するか、一部を支持するか、または全部を支持しないかのいずれかでなければならない。

第127条(表決の効力) 全部支持する表決は、異議申し立ての項目全部を支持するものである。全部を支持しない表決は異議申し立ての項目の全部を取り消すものである。一部を支持する表決は、異議申し立ての特定事項を支持するものである。

第128条(一部支持の表決) 一部支持の表決は、表決に際し、支持しようとする特定事項も明示しなければならない。

第129条(表決の宣言) 異議申し立ての表決にあたり、多数の支持する項目のみが支持されることを、宣言しなければならない。



  第18章 不同意および抗議

第130条(不同意) 不同意とは、会議において、特定の事件をめぐり、多数意見者と異なる意見を表明する一人またはそれ以上の少数意見者側の意志表示である。不同意は理由を付することなしに会議の記録に記載されなければならない。

第131条(抗議) 抗議とは、少数意見者の議員が、有害または誤った決定と判断する彼らの証言をそなえて行なういっそう厳粛な正式の意見表示である。通常、その根拠となる詳細な理由が付されるものとする。

第132条(不同意または抗議の記録) 不同意または抗議が、温和な言葉により表現され会議に対し礼を失しないものであれば、それを記録にとどめなければならない。
 会議は、その必要を認める時、抗議と共にそれに対する回答を記録にとどめることができる。
 しかし抗議した当事者が自己の抗議を撤回するためまたは修正するために取り下げる許可を得る場合を除いて、事件はここで終了する。

第133条(抗議者の資格) 当該事件に関し表決権を有した者以外は、会議の決定に対する抗議に参加することはできない。



  第19章 元教師の教会所属と再任職

第134条(元教師の教会所属) 中会が教師を戒規によってではなくその職務から退かしめ、または除名によってではなく免職する時は、その者を小会の承認をへて一個教会の会員としなければならない。

第135条(元教師の再任職) 前条の取扱いを受けて一個教会の会員となった元教師の身分は、他の会員の身分と同一でなければならない。
 彼が再び教師の職務にはいることを望むならば、中会は教師候補者、説教免許の取得、教師への任職に関する政治規準の規定に従って慎重に取り扱わなければならない。中会は適当と認めたならば再び任職することができる。


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