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日本基督改革派教会 創立50周年記念宣言 『予定についての信仰の宣言』 |
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序 文 わたしたち日本基督改革派教会は、創立五十周年にあたって、「予定についての信仰の宣言」を表明いたします。 日本基督改革派教会は、神の言葉である聖書に基づき歴史的改革派信仰に立つ教会を樹立することがこの国の教会と国家に対する最善の奉仕である、との確信のもとに創立されました。そして、今、創立から半世紀を経た五十周年にあたり、「予定についての信仰の宣言」を表明できることを神に感謝します。 わたしたちは、自らの教会を「改革派」教会と標榜し、絶えず御言葉によって改革されつづけ、より御言葉に忠実なキリストの体を建て上げる努力を積み重ねてきました。 わたしたちの教会は、創立宣言において、有神論的人生観ないし世界観の確立という主張と、一つ信仰告白と一つ教会政治と一つ善き生活においてキリストの教会を形成する、という二つの主張をかかげて、その歩みを開始しました。創立二十周年記念宣言では、創立宣言の教会形成論をさらにその使命論の方向に展開し、礼拝を中心として神学と伝道の重要性を強調し、信徒の担う役割と責任を明確にしました。創立三十周年では「教会と国家にかんする信仰の宣言」を表明し、教会の頭なる主イエス・キリストの御前に、自立的教会として悔い改めと新しい服従の道を歩むことを決意しました。創立四十周年では、信仰の宣言−「聖書について」「聖霊について」「福音の宣教について」−を作成して公に表明し、神の言葉への深き聴従こそ教会形成の要であることを宣言しました。ここに、創立以来の志である新信条作成の歩みが、具体的に一歩踏み出され、その成果を積み重ねて行くことによって、新信条作成の課題を果たしていくという方針が確立しました。 このような歩みを踏まえて、わたしたちの教会は、創立五十周年を目ざし、四十周年以後の大会的課題として「信条、伝道、教職養成」に取り組んできました。そして、信条については、聖書論と共に改革派信仰の両輪といわれる予定論に取り組み、「予定についての信仰の宣言」を作成することに努めてきました。 予定論は、教会の心臓と位置づけられるほど教会にとって生命的な真理であり、改革派教理体系全体に関わる中心的教理です。したがって、この宣言を軸として、教会全体が健全な神学活動を進めることができると信じます。予定論は今、これまでの教義学と聖書学の成果を考慮して、新しい表現が求められています。また、ウェストミンスター信仰告白第三章においてだけではなく、ウェストミンスター信仰基準全体と歴史的改革派諸信条との関係で、予定論そのものを一層豊かに展開することは、信仰と実践の真の原動力として大きな益をもたらすと確信します。 この「予定についての信仰の宣言」は、新信条の予定論を作成するための基礎を整えるという前段階的役割、とりわけ教育的役割を果たすことを意図して作成されています。また、この宣言は、このような教育的観点から、叙述の形式も順序も信徒の学習を助ける方式となっています。この業が神に祝福され、整えられた土壌から新信条の予定論が生まれて来る日を祈り求めるものです。 神の予定の教理は、長い教会の歴史の中で、さまざまな疑問や誤解のため、しばしば中傷や反対を引き起こして、躓きの石となってきたことを否定できません。しかし、予定の教理は、優れて神の恩恵の主権性を表明し、神への賛美と崇敬と賞賛を呼び起こし、謙遜と熱心と豊かな慰めを提供する聖書の真理です。 神の恵みの選びは、キリストを離れてはなく、キリストの内にのみ示されています。したがって、イエス・キリストこそわたしたちの選びを見つめる鏡であり、イエス・キリストから目をそらさないなら、神の予定の教理は、信仰の慰めとして、すべての信仰者にとって必ず喜びの歌となるでしょう。 神は、わたしたちをキリストにおいて、天のあらゆる霊的な祝福で満たしてくださいました。天地創造の前に、神は私たちを愛して、御自分の前で聖なる者、汚れのない者にしようと、キリストにおいてお選びになりました。わたしたちの主イエス・キリストの父である神は、ほめたたえられますように。 |
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祈 り | |
恵み深い全能の神よ。わたしたちは、今、予定の信仰をわたしたちの言葉で告白しようとしています。 |
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(1) 学びの姿勢 | |
どうか、わたしたちに敬虔な畏れの心を与え、聖霊によって真理へと導いてください。御言葉に啓示されたあなたの御意志に、注意深く耳を傾け、従うことができますように。そして、あなたから召され信じてキリストを受け入れているという事実から、キリストにあるわたしたちの永遠の選びをいよいよ堅く信じさせてください。 |
黙22:18,19、Uペト1:20,21、Uテモ1:9,10、Uペト1:10 ウ告白3:8、キリスト教綱要3:21:2-3、『聖書についての信仰の宣言6』 |
(2) 学びの祝福 | |
どうか、わたしたちを予定の真理の豊かな霊的祝福にあずからせてください。あなたの御前で、憐れみを悟り、謙遜へと導かれ、永遠の救いを確信し、慰めと望みと勇気に満たされますように。さらに、喜びと感謝のうちに、あなたへの愛を燃えたたせ、自分の体を生きた供え物として献げて、あなたの栄光を現すことができますように。 |
申7:6-8、ロマ11:20、ロマ8:33、ルカ10:20、ロマ12:1,2、エフェ1:3-14、ロマ11:33-36 ウ告白3:8、ドルト1:13、イングランド17、アイルランド16 |
1 神の永遠の計画とキリストにある選び |
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(1) 神の永遠の計画 | |
わたしたちの主イエス・キリストの父である神は、御自身の意志の熟慮による永遠の決意すなわち聖定によって、神の国の完成と御自身の栄光のために、創造と摂理と贖いと完成の御業についての一切の計画を定めておられます。世の初めから隠されていたこの御計画はイエス・キリストによって啓示され、実現され、完成されます。 |
エフェ1:3-14、エフェ3:1-13、コロ1:26-27 ウ小教理7,8,101-103、ハイデルベルク26,31 |
(2) キリストにある選び | |
神は、この永遠の御計画で、御自分のひとり子、わたしたちの主イエスを、神と人との間の仲保者、預言者・祭司・王、教会の頭また救い主、万物の世嗣、世界の審判者として選びまた定められました。 |
Tペト1:19-20、Tテモ2:5、ヘブ5:5,6、エフェ5:23,30、エフェ1:4、ヨハ6:37,39、ヨハ17:2,6,9、ヨハ17:24、ロマ8:28-30、エフェ5:26-27、Uテサ2:13-14 ウ告白8:1、ウ告白25:1、3:4、ウ告白8:1、25:3、ウ告白3:6、ドルト1:7、2:8,9、ハイデルベルク54、ジュネーブ93 |
(3) 選びの恩恵性 | |
全人類は、アダムにおいて罪を犯し、彼と共に堕落して罪と悲惨の状態に陥り、神の怒りと永遠の滅びに値する者となりました。したがって、たとえ義なる神がすべての人をその罪のゆえに断罪することを決意されたとしても、不正を犯されたことにはなりません。 しかし、神は、天地創造の前から、罪と滅びに陥った全人類の中から、御自身の意志の全く自由によしとされるところにしたがい、わたしたちをキリストにあって救いに選ばれました。それは、神の自由な恵みと愛とにのみよるもので、わたしたちの中の信仰や悔い改め、善い業、その他の何かを、選びの条件や原因として神が予見されたからではありません。 |
ロマ3:19,23、ロマ5:12、ロマ6:23、エフェ1:4-6、エフェ1:9,11、Uテモ1:9、使13:48、エフェ1:4、エフェ2:8-10 ドルト1:1,7、ウ告白3:6、ウ小教理16、ドルト1:7、ウ告白3:5、ウ大教理13、ドルト1:9 |
(4) 選びの目的 | |
キリストにある選びの目的は、わたしたちが、無償の賜物としての信仰を与えられ、神に仕える民としてあらかじめ備えられた善い業を行って歩み、暗闇の中から驚くべき光の中へ招き入れてくださった方の力ある業を広く伝えるためです。また、神の子とされたわたしたちが、頭であるキリストにいよいよ似る者とされ、ついには聖なる汚れのない、栄光に輝く教会として御前に立ち、神の恵みの栄光をほめたたえるに至るためです。 |
Tペト2:9,10、ロマ8:29,30、エフェ5:27、エフェ1:6 |
(5) 選びと恵みの手段 | |
わたしたちをキリストにおいて永遠の命に選ばれた神は、その目的と共に、それに至る救いの道と手段をもあらかじめ定められました。すなわち、神は恵みの契約をキリストと、また彼にあって彼の子孫であるわたしたちと結び、キリストによってわたしたちを贖い、キリストの御霊によって贖いの恵みをわたしたち一人一人に有効に適用するように定められました。また、その適用において通常は、恵みの外的手段を用いるように定められました。それは、キリストの規定、特に御言葉と礼典と祈りです。聖霊はこれらすべてを、信仰と悔い改めを通して、わたしたちの救いのために有効とされます。 |
ヨハ6:37,39、ヨハ17:2,6、Tペト1:2、2:2、使20:32、Tテモ4:16、Tコリ1:21、エフェ6:17-18 ウ告白3:6、8:1、ドルト1:7、ウ大教理31,154、ウ小教理85,88 |
2 キリストにある選びの歴史的実現 |
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(1) 選びと恵みの契約 | |
神は、永遠から、わたしたちをキリストにおいて選び、見えない教会として定めておられますので、わたしたちを仲保者キリストによって救いに入れるために、恵みの契約を結ばれました。永遠から選ばれた見えない教会は、歴史の中で恵みの契約を通して、見える教会において契現されます。 |
エフェ1:4、エフェ5:23 ウ告白25:1、ウ小教理20 |
(2) 恵みの契約の歴史的展開と教会の形成 | |
(旧約) |
創3:15、創12:1-3、創17:1-14、出24:1-11、出19:5,6、申7:6-8、サム下7:12-16、詩132、ネヘ1:5-11、イザ10:20-22、エレ31:31-34、イザ42:1-4、イザ52:13-53: 第一スコットランド5、『聖書についての信仰の宣言一』、ウ告白7:5 |
(新約) |
マタ1:1、ガラ4:4、使2:33、ガラ3:28、Tペト2:9、マコ13:26,27 ウ大教理42、ウ告白7:6、『聖霊について4,5』、ハイデルベルク54 |
(3) 選びとまことの教会の形成 | |
このように、地上には、御心にしたがって神を礼拝する真の信仰者と神の教会がいつでも存在します。しかし、見える教会がそのまま見えない教会と同じではありません。肉のイスラエルのすべてが真のイスラエルではなく、すべての麦が良い麦ではありません。真の信仰と従順により契約に真実である人たちにおいて選びは確証されます。 |
ロマ11:4,5、マタ16:18、マタ28:19,20、ロマ2:28、9:6、マタ13:40 ウ告白25:4,5、ドルト2:9、ウ告白25:4、『創立宣言』 |
3 キリストにある選びと福音の宣教 |
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(1) 恵みの契約と福音の宣教 | |
永遠の選びは、歴史の中で恵みの契約を通して実現されます。この契約の性質上、福音の宣教と福音に対する信仰が求められます。神は、永遠の命に予定した人たちを、教会による福音の宣教を通し、聖霊によってキリストヘの信仰に有効に召し出し、選びを明示されます。 |
ガラ3:16,17,21,22,26-29、マタ28:19-20、ロマ10:17、Uテサ2:13,14、使13:48 ウ告白7:3、ウ大教理30-32、ウ小教理20 |
(2) 福音の一般的提供の根拠と使命 | |
神は、愛であって、罪人を憐れみ、罪のための贖いの供え物として御子を遣わされました。ここに、神の愛が示されました。 |
Tヨハ4:8-10、ヨハ3:16、Tヨハ2:1,2、テト2:11、ヘブ2:9、マタ28:19-20、ヨハ3:16、ロマ5:8、Uぺtp3:9、Tテモ2:4、エゼ33:11、使2:38、4:12、16:31、17:30、Uコリ5:18-20、黙22:17 ドルト1:2、ドルト2:3、『福音の宣教について1』、ドルト2:5、『福音の宣教について2,4』、ドルト1:3 |
(3) 福音宣教の力としての選び | |
キリストにある選びの信仰は、伝道への意欲を弱めるどころか勇気と確信と力を与えます。 |
ヨハ6:37,44-45、ヨハ17:2,6,9,24、使18:9-11、使13:46,48、Uテモ4:1-2 『聖霊について6』、ウ告白10:1 |
(4) 福音への応答と永遠の滅び | |
福音の招きを受け入れることは、すべての人の義務でありまた特権です。したがって、その招きを拒み最後までかたくなにキリストを信じない人たちは、永遠に滅びに裁かれます。彼らの滅びは、何らかの偶然や運命的必然の結果ではなく、神ご自身の計り知ることのできない永遠のご計画と摂理のもと、彼ら自身の罪と不信仰と不従順によるのです。 |
使13:46,48、ルカ13:22-30 『福音の宣教について3』、ドルト2:6、ウ告白3:7、5:1,4、二スイス10、ウ告白3:7、ドルト1:15 |
4 キリストにある選びと選民の使命 | |
(1) 選びと聖化 | |
神は、天地創造の前から、御前に聖なる、汚れのない者にしようと、わたしたち一人一人をキリストにおいて選ばれました。 |
エフェ1:4、Tペト1:15、コロ3:12、ガラ5:22 『聖霊について6』 |
(2) 奉仕への選びと責任 | |
神がわたしたちをキリストにあって選ばれたのは、世からわたしたちを聖別してキリストのもとに集め、神に仕える民としてわたしたちの奉仕を用い、神の国を進展させ、完成に至らせるためです。 |
申7:6、出19:5,6、Tペト2:9,10、使9:15、ヨハ15:16 ドルト1:13 |
(3) 選びと有神論的使命 | |
神に仕える民として選ばれたわたしたちは、主イエス・キリストの僕として預言者・祭司・王の任務を担い、福音宣教の業にとどまらず、生活のあらゆる領域で神の国の完成と神の栄光のために奉仕します。 |
Tコリ10:31、エフェ4:30、ロマ8:17,18-23、Uペト3:12,13、Tペト1:3,4、Tコリ15:58、使徒4:19,20,5:29、ロマ12:1,2、Tペト2:9、Tテモ1:18,19、Uテモ2:12 『創立宣言』、『30周年宣言3(4)』、ハイデルベルク31,32、同32 |
5 キリストにある選びの確かさ |
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(1) 選びの鏡としてのキリスト | |
わたしたちは、自分の選びの確かさの根拠を、自分自身のうちに探すことによっても、キリストを離れて隠された神のみ旨を詮索することによっても、見いだすことはできません。 |
エフェ1:10,11、Uテモ1:9,10、ヨハ6:37,39,44、17:2,3,6-8 キリスト教綱要3:24:5、ウ大教理66-68、ウ小教理31、キリスト教綱要3:24:5、二スイス10 |
(2) 選びの鏡としてのキリストと教会 | |
生けるキリストは教会の頭として世の終わりまでいつも御自分の体である教会と共におられます。特に主の日の礼拝において、御言葉の朗読と説教および礼典の執行を通し、聖霊によって、最も鮮やかに臨在されます。 |
マタ28:20、エフェ1:22,23、ヨハ17:24、Tコリ12:13、Uテモ3:15-17、Tコリ11:23-26、10:16、マタ6:9-13、黙13:8,22:3、黙3:5、17:8、20:12,15、21:27 『20周年宣言』、ジュネーブ104、ハイデルベルク54、二スイス10、ウ小教理89,94,96 |
6 キリストにある選びと聖徒の堅忍 |
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(1) 聖化の未完成 | |
御国への途上にあるわたしたちは、試練の中で苦しみ、残存する罪と肉の弱さのために、また恵みの手段を怠ることにより、世とサタンの誘惑に屈し、時には深刻な罪さえ犯します。それによって、神の怒りをひき起こし、聖霊を悲しませ、良心を傷つけ、受けている恵みや慰めをある程度失う時もあります。 |
サム下11、マタ26:69-75、イザ64:5,6、エフェ4:30 ウ告白13:2、ウ告白17:3、18:4、ドルト5:1,3,4,5 |
(2) 選民の保持 | |
しかし、神の永遠の御計画は不変であり、神の選びの愛は揺ぎません。選民のためのキリストの贖いと執り成しは有効です。選民のうちの聖霊の証印は確かです。わたしたちのうちに救いの業を始められた恵みの神は真実であり、恵みの状態から全面的にも最後的にも堕落することのないように、わたしたちを終わりまで確実に保持し、その業を成し遂げてくださいます。 |
ヘブ6:17、ヨハ10:11,28,17:11,15,24、ヘブ7:25、ヨハ14:16、ロマ8:16、エフェ1:13,14、4:30、フィリ1:6、Tペト1:4,5、Tコリ10:13、ルカ22:31,32、ロマ8:26,27、ロマ8:28(新改訳)、ロマ8:31-39 ウ告白17:1,2、ドルト1:11、5:6-8、『聖霊について6』、ドルト1:16、5:11 |
(3) 聖徒の堅忍と恵みと救いの確信 | |
この神の恵みの業に支えられて、わたしたちはキリストにつながって、真の信仰のうちに最後まで堅く堪え忍ぶことができます。 |
ヨハ15:1-10、ヘブ3:14、マコ13:13、詩51:5-14、イザ50:10、ヘブ12:1-3、ヘブ10:25、フィリ2:12、Uペト1:10、ヘブ6:11,12、ロマ14:17、ロマ15:13、ガラ5:22,23、Uペト3:18、Uコリ7:1、ロマ5:5 ウ告白14:3、17:1、ウ告白14:3、ドルト5:12,13、ウ告白14:1、ウ告白18:1,3、13:3、ウ大教理80,81、ドルト5:13 |
7 キリストにある選びと終末的完成 |
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(1) 選びと審判者としての再臨のキリスト | |
世の終わりに、わたしたちの救い主イエス・キリストは栄光のうちに再び来られます。再臨の主は、すべての敵を滅ぼし、死人を甦らせ、審判者として義をもってすべての人を裁かれます。その時、選ばれたわたしたちは、栄光の体をもって御前に立ち、公に無罪を宣言され、全く清く傷のない教会として受け入れられます。しかし、福音を受け入れず、最後までかたくなにキリストを信じなかった人たちは永遠の刑罰の下に置かれます。 |
テト2:13、フィリ3:20、黙19:11-16,20、Uテモ4:1、Tコリ15:51-53、マタ25:33、エフェ5:27、Uテサ1:8、フィリ2:11 ウ告白33:1,2、ウ小教理38、ウ大教理89,90、ウ大教理89、ウ告白33:1 |
(2) 選びと神の国の完成 | |
最後の審判の後に、万物が更新されます。古い天と地は焼け崩れ、再創造された義の宿る新しい天と地が現れ、御国が完成されます。 |
使3:21、黙21:1-4、Uペト3:12,13、黙5:9、7:9、21:26、黙21:3、黙22:3-4 ウ小教理1,38 |
(3) 栄光の賛美 | |
こうして終末の日に、主キリストは、神の国の完成と神の栄光のために天地創造の前から定められていた神の御計画の一切を完成されます。すなわち、父から委ねられた選民を完全に救い、御国を父なる神に渡されます。今や、神はすべてにあってすべてとなられます。 |
エフェ1:9,10、Tコリ15:24-28、ロマ11:36 |
主の1996年5月3日 日本基督改革派教会創立五十周年記念臨時大会 |
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『伝道の宣言』 |
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序 文 | |
わたしたち日本基督改革派教会は、創立五十周年に当たり、「全世界に行って、すべての造られたものに福音を宣べ伝えなさい」と命じられた復活の主イエス・キリストの召しに応え、今、ここに「伝道の宣言」を表明いたします。 |
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(歴史) | |
歴史を支配しておられる神は、五十年前、敗戦直後のわたしたちの国に、聖書の教えに忠実な教会を建てることこそ新しい日本建設の土台であるとの信仰に燃え、新たな幻を抱く一群の人びとを起こし、日本基督改革派教会を創立させてくださいました。そのとき以来、神は、力ある御手によって、わたしたちの伝道と教会形成を導いてくださいました。 |
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(告白) | |
わたしたちは、今、五十年の教会の歩みを省み、その間に現された数々の恵みを覚えて、主イエス・キリストの父なる神に深く感謝いたします。それと共に、わたしたちは、創立当初の主張を実現することにおいて、なお欠け多く、弱さのあったことを、主の御前に告白いたします。 |
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(現代) | |
現代の社会は、歴史上、かつて見られなかった多くの困難な問題に直面しています。今日のあらゆる問題の根源は、人間が生けるまことの神から離れ、自己中心に生きようとするところにあります。しかし、イエス・キリストこそ、すべての人間をあらゆる罪から贖い出し、まことの神に立ち帰らせることの出来る唯一の救い主であります。それゆえに、わたしたちは、このイエス・キリストにある神の国の福音をすべての人に大胆に宣べ伝えます。 |
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(神の国の福音) | |
神の国は、主イエス・キリストにあってなされる神の命と恵みの支配です。この神の国は、主イエスの宣教によって開始され、主の十字架の死と復活によって確立し、今や、教会による福音の宣教を通して力強く進展し、やがて主の再臨の日に究極的な完成を見ます。神の国は、御言葉に啓示された神の約束の中心であり、わたしたちキリスト者の最高の目標、また希望です。 |
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(決意) | |
キリスト・イエスの出現とその御国の完成を待望するわたしたちは、御子によって罪人を救おうとされる神の大いなる愛に動かされ、福音を宣べ伝える尊い務めに献身いたします。 |
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神の国の福音の宣教 |
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1 創造と堕落と神の国の準備 | |
神は、人を特別に御自身のかたちに創造し、人を祝福して全世界を治めさせ、御自身の支配と栄光が万物に及ぶようにされました。そのために、神は人と命の契約を結び、全き従順を求められました。けれども、全人類の代表アダムは、神との契約に背き、神の御前に罪人となり、全面的に堕落しました。この結果、人は滅ぶべきものとなり、神の呪いは全被造物に及びました。 |
創1:26-28、2:16-17、3:6、3:14-19、ロマ1:18-32 |
しかし憐れみに富む神は、人類と世界を罪のうちに滅びるままにせず、かえってこれを贖うことをよしとし、歴史の中で、アブラハムの召しに始まる救いの道を備えられました。すなわち、神はすでに旧約時代にさまざまな方法によって御国の到来を預言し、約束されたのです。 |
創3:14-16、9:9-17、12:1-3、ヘブ1:1-2 |
2 イエス・キリストによる救いと神の国 | |
恵みとまことに富む父なる神は、わたしたちを罪と死とから贖い出すために、時至って、独り子イエス・キリストをこの世に遣わしてくださいました。まことの人として来られた主イエスは、「神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい」と、自ら御国の福音を宣べ伝え、失われた者を捜し、悔い改める者に罪の赦しを告げられました。 |
マタ9:35-38、マル1:14-15、ルカ19:10、ヨハ3:16-17、ガラ4:4 |
イエス・キリストは、罪人の身代わりとして十字架に死に、わたしたちの罪のための完全な贖いとなられました。主イエスは、三日目に死人の中から復活し、わたしたちが永遠に神と共に生きることができるようにしてくださいました。わたしたちが今、神の御前に良心の平和と喜びと希望をもって生きることができるのは、ただ、このキリストにある罪の赦しによるのです。 |
ロマ3:25、4:25、5:1,8,11、6:4 |
キリストは、地上における贖いの御業を果たした後、天に昇り、父なる神の右の座に着かれました。このようにして、主イエス・キリストは、恵みの契約を真実に成就し、神の国を打ち建てられました。そして、今、地上を歩む御自身の民のために父に執り成し、彼らを恵みのうちに守り、支配しておられます。 |
エフェ1:20-22、ヘブ7:24-25、9:15,28 |
主は、やがて、再び来られて、御国を完成されます。 |
Tコリ15:24 |
3 聖霊と教会と神の国の宣教 | |
イエス・キリストの約束にしたがい、ペンテコステの日、聖霊なる神が使徒たちに降臨されました。そのとき以来、復活の主は、彼らを御自身の証人として福音宣教のために全世界に派遣されました。 |
ルカ24:49、使1:8、2:1-4,14,32-33 |
聖霊は、使徒たちの宣教を通して働き、福音を聞く人びとに、神に対する悔い改めとイエス・キリストへの信仰を与えて、彼らを救い、キリストの贖いの実を結ばせられました。これによって生まれた信仰者の群れが、神の民、キリストの体、聖霊の宮と呼ばれる教会です。 |
使2:27-42、11:20-21、20:21、Tコリ6:19、12:3、エフェ1:23、Tペト2:9 |
世々の教会は、使徒的宣教を受け継ぎ、神の国とその祝福を証しします。宣教とは、キリストの福音を提供することにより、救いの恵みに人びとを招き入れることを通して、教会を建て上げていく働きです。 |
使2:43-47、エフェ4:11-12、コロ1:24、Tペト2:4-5 |
それゆえ、わたしたちは、「御国を来たらせたまえ」と熱心に祈りつつ、聖霊の力に満たされて、大胆に神の言葉を語り続けます。 |
マタ6:18、ルカ12:12、使4:31、8:4、Uテモ4:1-2 |
4 礼拝と神の国の宣教 | |
教会は、この世にあって、神の国の中心的な現れであり、また、その証しの器です。とりわけ、主の日の公的礼拝は、わたしたちがイエス・キリストの復活を記念し、主の再臨を待望する時です。神の言葉が力強く語られ、聖礼典が喜びのうちに執り行われるところに、主イエス・キリストが聖霊によって私たちのうちに臨在されます。このキリストにあって、わたしたちは神に賛美と感謝を献げ、こうして神と民との交わりが具体的に現されます。礼拝はまさに教会の霊的生命の源であり、御国の福音が宣べ伝えられ、すべての人がその恵みに招かれる最高の機会です。 |
マタ16:18-19、ヨハ20:19,26,28、Tコリ14:24-25、ヘブ10:25 |
この教会は、キリストに結ばれた信徒の群れとして、神の恵みに共にあずかる者にふさわしく、相互の愛の交わりに生きます。わたしたちキリスト者は、その中で神の恵みの支配を証しし、罪のために分裂し苦悩しでいる世のすべての人をこの交わりの中に招きます。 |
使2:44-47、ロマ12:9-19、Uコリ9:13-14、Tヨハ3:16-18 |
さらに聖霊は、わたしたちを罪の支配から解放し、聖い生活と善い行いへと導かれます。わたしたちのそのような生活と行いは、キリストの福音が真実であることの具体的なしるしです。そのためにわたしたちは、聖霊の助けと導きを熱心に祈り求め、生活のすべての面で福音の告白を飾るように努めます。 |
ロマ14:13-19、Tテサ1:8-10、Tテモ4:16、Tペト2:12、3:1-2 |
5 福音の恵みの広がりと神の国 | |
復活の主イエス・キリストは、万物の支配者であり、天地のあらゆる権能を持っておられます。キリストの福音は、人間と世界のすべての問題にかかわります。したがって、その支配と恵みが及ぶ広がりは、決して制限されてはならず、教会は、福音が人間社会と世界の全体に有効に適用されていくように努めなければなりません。 |
マタ28:18、ロマ13:1-7、Tコリ10:31、コロ1:6 |
すべてのキリスト者は、各自の生活と働きの場において、賜物を十分に活用して主の御国の進展に寄与するように召され、遣わされています。神の創造されたこの世界は、罪の呪いをこうむりましたが、キリストの贖いによって、滅びへの隷属から解放される確かな希望があります。それゆえ、わたしたちは、各自の召しに対する熱心な応答の働きを通して、この世界をその造り主また贖い主に献げていきます。 |
創1:26-28、2:15、ロマ8:19-23、エフェ2:10、Tテサ4:11、テト2:14 |
6 神の国の宣教の動機と希望 | |
御自身の独り子をさえ惜しまず、十字架の死に渡すまでにこの世を愛された神は、すべての人が悔い改めて救われ、御自身のもとに立ち帰るのを待ち望んでおられます。わたしたちは、今、神のこの大いなる愛に迫られ、失われている魂への愛に駆り立てられ、一人も滅びることがないようにとの祈りをもって、心を込めて救いの福音を宣べ伝えます。 |
ヨハ3:16-21、Tコリ9:16、Uコリ5:20、Uペト3:9、Tヨハ4:9-10 |
神のこの大いなる愛は、聖書の中で、キリストにおける永遠の選びにおいて明らかに啓示されています。罪人の救いは、この愛の選びに堅く基礎づけられ、福音宣教を通して歴史の中で確実に実現し、世の終わりに完成します。それゆえ、私たちの宣教の労苦は、決してむなしく終わることはありません。 |
使13:48、18:9-10、Tコリ15:57-58、エフェ1:4-14 |
7 世界宣教と神の国の完成の希望 | |
キリストの福音は、エルサレムから始まり、ユダヤ人にもギリシア人にも宣ベ伝えられ、教会の歴史を通して、今日、地の果てにまで及ぼうとしています。キリストはこのようにして、世界のすべての国々から神の民を起こし、集めて、御自身の御国を広げて行かれます。やがてキリストは、再び世に来て、万物を御自身に従わせ、御国を父なる神に渡されます。こうして神の永遠の計画が成就し、御国が完成するのです。 |
ルカ24:47-48、使1:8,11、ロマ15:16,19,24、Tコリ15:24-25、エフェ1:10、黙21:1-4、22:20 |
復活の主は「あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい。彼らに父と子と聖霊の名によって洗礼を授け、あなたがたに命じておいたことをすべて守るように教えなさい。わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」と命じ、約束されました。キリストの教会は、この主の御心にしたがって、福音の世界宣教に献身します。 |
マタ28:19-20 |
日本伝道への視点 |
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8 現代日本社会における伝道 | |
わたしたちは、今、この日本における伝道を、主から託された務めとして自覚します。 |
ガラ2:7-9 |
価値観がいちじるしく多様化し、相対化する現代、多くの日本人は、真に畏れるべき方を知りません。同時に、現代日本社会には、今なお、古来の宗教伝統と古い道徳的価値観が根強く残っています。あらゆる形の神なき生活および偶像礼拝は、生けるまことの神に対する罪にほかなりません。わたしたちは、キリストにあって生ける真の神への信仰に生かされるときにのみ、この罪から救われ、解放されることを大胆に主張します。 |
詩14:1、イザ44:9-20、マタ6:33、ルカ12:4-5、使17:22,23、Uコリ5:18-21 |
さまざまな面で管理化が進み、効率のみが追求されがちな現代社会にあって、人間疎外と環境破壊が助長され、現代人の思考と生活とはその犠牲となり、人間としての尊厳が見失われる傾向にあります。教会は、キリストにある真実な共感をもって、現代社会の抑圧と差別の中に生きる人びとを見つめます。わたしたちは、神の国とキリストの福音が、特に現代社会にあって、傷つき、悩み、病んでいる多くの人たちに差し出されるべきことを自覚します。 |
箴31:8-9、イザ30:12、ホセ4:1、ヨハ8:34、ロマ1:18-32 |
わたしたちは、この面での具体的な取り組みをこれまで十分にしてこなかったことを率直に認めて、今後、さまざまな状況の中にある人びとの必要に適切に応えることができるように務めます。このような努力を積み重ねていくことによって、教会は、現代社会において神の国を証しする良き器となることができるのです。 |
マタ9:35-36、11:28、ルカ10:25-37、Tコリ9:19-23 |
9 現代日本伝道と天皇の宗教的性格 | |
高度に発達した現代社会に生きる多くの日本人は、同時に、今なお、古来の宗教伝統の中に生きています。このような社会における伝道にとって、天皇の宗教性に関わる問題は、避けて通ることのできない重要な課題です。 |
出5:2 |
かつて天皇は、神格化され、政治的に利用され、国家目的に順応しない少数者に対する有形無形の弾圧が天皇の名によって正当化されました。その結果、わたしたちの国では、宗教の自由ははなはだしく圧迫され、わたしたちの教会もゆだめられ、真理は大胆に主張されず、キリスト教伝道はいちじるしく妨げられてきました。また、わたしたち日本の教会も、天皇を現人神(あらひとがみ)とする国家神道儀礼を拒絶し得ず、偶像礼拝の罪を犯しさえしたことを、主の御前に告白いたします。 |
ダニ23:1,5,15,18、6:8-9,11,23、使12:22、イザ44:9-20 |
天皇は、政治的役割の歴史的変遷にもかかわらず、今に至るまで依然として、特定の宗教伝統において重要な祭祀をとり行っています。天皇制は、その深層において、多くの日本人の心の底にある古来の宗教意識に根ざしており、そのため、天皇は容易に日本の精神的支配者と見なされる危険があります。 |
使8:10、14:11-13、エフェ2:2 |
キリストだけが王の王、主の主であると告白するわたしたちは、伝道を、天皇制に集約させる日本人の古い宗教的心性と日本的集団意識とに対する霊的戦いとして受け止めます。わたしたちは、神の御心に従い、折が良くても悪くても、すべての人が主イエス・キリストを信じて救われ、真理を知り、神を崇めるようになることを切に祈り求めて、唯一の神と唯一の贖い主イエス・キリストを宣べ伝えます。 |
使5:29、エフェ6:12、Tテモ2:1-7、Uテモ4:2、黙13:15、19:16 |
10 伝道のための教会改革 | |
神の民である教会は、暗闇の中から驚くべき光の中へと招き入れて下さった方の力ある御業を広く伝えるためにこそ、神に召されています。この伝道の観点から、教会全体のあり方が絶えず見直され、御言葉にしたがって改革されなければなりません。 |
Uテモ4:2-5、Tペト2:9 |
わたしたちは、キリストの福音をより正しく理解し、現代に有効に伝達するために、教会の営みとして聖書に忠実な神学の研さんに熱心に励みます。それを通して、わたしたちは、福音の教理を信仰告白においてさらに豊かに言い表わすことを目ざします。 |
ヨハ14:26、15:26-27、16:13、Tテモ3:15、Uテモ3:15-17 |
教会は、また、キリスト御自身の教えと模範に従い、言葉によると共に、多くの人びとと神の賜物を分かち合う愛の行いによっても、福音の恵みを豊かに伝えることを期待されています。わたしたちは、キリストにならって、この愛の業に励みます。 |
マタ14:13-21、使2:44-45、Uコリ8:4,24、Tヨハ3:16-18 |
教会は、そのかしらであられるキリスト御自身によって正しく治められるときにこそ、すべての営みにおいて豊かに祝福されます。教会が御霊の知恵と賜物によって秩序よく建て上げられていくために、わたしたちは、使徒たちの教えと模範にしたがい、長老主義と呼ばれる教会政治を営み、この制度に習熟するように努めます。 |
使14:23、20:27-28、Tコリ12:12-31、14:33-、Tテモ3:1-7、テト1:5-9 |
11 教育と伝道 | |
教会は、幼子から高齢者に至るまで、あらゆる年代の人びとから成る群れです。それゆえ、わたしたちは、これに応じて、すべての年齢層の人びとに伝道すべき責任を覚えます。精神的混迷と道徳的混乱のいちじるしい現代にあって、正しい福音理解に基づく教育的な伝道を推進することが必要です。わたしたちは、このような伝道を一人びとりの生涯にわたって継続することにより、その霊的成熱を目ざします。 |
マル10:13-16、使16:31-33、Tテサ2:7,8,111-12、Tテモ5:1-、Uテモ2:22 |
教会の歴史を振り返るとき、わたしたちはとりわけ、明日の教会の担い手である青少年に対する伝道と教育が不可欠なことを痛感します。わたしたちは、若者の現実を直視し、よく理解して、彼らを受け入れ、彼らの思考と関心の中で、一人びとりに福音を語らなければなりません。 |
マル10:15-16、使2:39、Tコリ9:19-23、エフェ6:1-4 |
そのためには、教会における教育と共に、世と妥協せず御言葉に生きるクリスチャン・ホームの形成が欠かせません。それによって、契約の子たちは、将来、自分自身の信仰を告白し、主の召しによく応えて生きることができるのです。さらに、これを促すために、わたしたちは、有神的世界観に立つ一般教育機関の必要を自覚し、可能な限りの実現に努めます。 |
Uテモ1:5、3:15 |
12 伝道者としての全信徒 | |
わたしたちキリスト者はすべて、伝道の働きに召されています。特に主の日の公的礼拝は、神の国が最も鮮やかに表される伝道の最高の機会です。この礼拝に、わたしたちは感謝と喜びをもって集いし、それによって人生の目標と希望を人びとに証しします。礼拝への参加には、しばしばこの世との霊的戦いが避けられません。しかし、その戦いにおいて自分の十字架を担い、キリストにあって自らを神に献げることを通してこそ、わたしたちは十字架のキリストを宣べ伝えることができるのです。 |
マル5:19-20、8:34、使2:42-47,8:4、ロマ12:1、ヘブ10:24-25 |
わたしたちはさらに、伝道の働きがますます多様化していく現代、すべての信徒のさまざまな賜物を献げた伝道活動の必要を覚えます。わたしたちは礼拝の恵みに促され、主に召された場に遣わされていきます。すべての信徒は、教会生活、家庭生活および社会生活の原則を福音の教理から示されて、主の伝道命令と神の文化命令とに熱心に励むことによって、御国の進展に仕えるのです。 |
ルカ8:2,3、使9:36、Tペト3:15-16、4:10-11 |
13 伝道献身者 | |
教会の伝道は、その初めから、主に召され、生涯を福音宣教に献げた人びとの働きによって進められ、祝福されてきました。わたしたちは、日本における伝道と教会建設のいっそうの前進のために、収穫の主が、今後、さらに多くのさまざまな働き人を送り出してくださるように熱心に祈り、特に若い人たちを育て、伝道に献身するように奨励します。 |
マタ4:18-22、9:35-38、使1:13,26、2:14、16:1-3、Uテモ1:6-8,2:1-7 |
教会は、伝道者が主御自身により教会の説教者、牧者として召されたことを真剣に受け止め、福音に対する信仰とその知識においてますます前進し、奉仕と生活において福音の良き証しを立てることができるように、彼らを訓練しなければなりません。このために教会は、伝道者養成機関をよりよく整えると共に、彼らを生涯にわたって教育するように努めます。 |
Tテモ3:2-13、4:6,11-16、6:11-14、Uテモ2:15 |
14 伝道の方法と手段の再検討 | |
聖霊は、伝道においてすべての信徒の賜物と働きを生かしてくださいます。そこでは、わたしたちの知識、経験、技術などが、すべて有効に用いられます。 |
ルカ8:3、使9:36、Tコリ15:58 |
聖霊の御業である伝道は、教会の置かれている具体的な状況の中で、常に、人を用いて人のためになされる働きです。それゆえ伝道は、人に対する深い洞察と真実な共感なしには、良き実を結びません。 |
マタ9:36、ヨハ11:36、使6:1-7、11:20-21、Tコリ9:19-23、フィリ1:18,20 |
このために、わたしたちは、人間と社会についてよりよき理解する助けとなる、さまざまな分野の研究成果を積極的に活用していきます。教会は、御言葉の教えに注意深く耳を傾けながら、勇気と大胆さをもって、絶えず、伝道の方法や手段を再考し、検討し続けなければなりません。 |
使9:26 |
15 伝道における協力 | |
教会は、現在、多くの教派に分かれているにもかかわらず、本来、そのかしらであるキリストの体として一つです。この一つの公同教会を具現することは、神が与えてくださる賜物であると同時に、わたしたちに課せられた大切な務めでもあります。 |
エフェ2:14-22、4:4-6 |
この務めは、諸教会が互いに、福音の教理における信仰の一致を熱心に求めながら、御国の完成を目ざして共に福音宣教に奉仕するなかでこそ果たされていきます。それは、特に同じ信仰と伝統を共有する諸教会との交わりと協力において具体化されていきます。 |
ヨハ10:16、17:20,21、使11:22、25-26、15:2,22 |
現代社会の多様化と国際化、それに伴う伝道の課題の多面化のゆえに、諸教会、およびキリスト教諸団体は、伝道の促進を目ざして、可能な限り、互いに一致協力することが必要です。わたしたちはこのために、聖書翻訳と頒布事業の支援、文書事業の促進、マス・メディアの活用、キリスト教主義一般教育への協力、福祉事業の推進など、さまざまな仕方で伝道協力の態勢づくりに、鋭意、取り組みます。 |
ヨハ13:34-35、使11:29-30 |
16 世界伝道への奉仕 | |
わたしたちの教会は、早くから、信仰を同じくする外国ミッションの尊い働きにより、伝道と教会形成において大きな助けと益を受けてきました。それに励まされて、現在、わたしたちの教会からも宣教師が遣わされています。わたしたちは、このようにして、世界の改革派・長老派諸教会と良き交わりを保ち、相互に宣教協力の祝福にあずかっています。 |
使11:20-24、13:1-3 |
さらに、今日、教育や医療など多様な分野で、賜物と召しを受けた人びとが起こされ、遣わされています。交通や通信がいちじるしく発達し、国際化が進む中で、わたしたちの前には、さまざまな伝道の場が大きく広がっています。わたしたちは、このような働きがますます盛んになり、世界伝道の前進に貢献することを期待して、その召しに応えていきます。 |
使15:22-41 |
わたしたちの教会は、世界の諸教会と共に、「あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。そして、エルサレムばかりでなく、ユダヤとサマリアの全土で、また、地の果てに至るまで、わたしの証人となる」と告げられた復活の主イエス・キリストの御意志にしたがい、終わりの日における神の国の完成に向けて、福音を全世界に宜べ伝えます。 |
使1:8 |
祈 り | |
主イエス・キリストの父なる神よ、わたしたちは、今、あなたの御前に「伝道の宣言」を表明し、福音宣教への主の召しに新たに献身いたします。わたしたちの志を祝福し、この宣言で表明したことを十分に果たすことができますように、聖霊の豊かな力をお与えください。わたしたちの教会を顧み、全世界のあなたの民と共に、御国の完成を待望しつつ、福音を宣べ伝えさせてください。 |
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主の1996年5月3日 日本基督改革派教会創立50周年記念臨時大会 |
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あとがき | |
1 この「伝道の宣言」は、創立40周年以後の大会的課題の一つとして確認された伝道問題についての検討の一環として、第42回定期大会(1987年)においてなされた決議にしたがって作成されました。 |
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